ペットに対する社会的なコンセンサスが動いているように思う。県条例は、ペットに、適正な運動をさせること、訓練しつけ(11条)などを義務ずけているが、それには罰則までつけてはいない。それに対して、ペットを、鎖でつなぐこと、糞の始末(12条)などの義務違反は条例で罰せられることがある。
・損害(物の損傷についての損害)
さてペットが毀損されたり命を失った場合について、ものであるペットはどう取り扱われるのか。
ア 車を壊す、手帳や書類を壊すこととの比較
たとえば、生命のない物については、それを毀損した場合も物損といって、物の値段の賠償が認められても慰謝料は認められないことが普通。
イ 大事なものを壊す(アルバム、手紙等)
しかし大事にしていたもの、愛着のある物でも、交換価値の乏しい物もあるが、それで賠償が認められないのはいかがなものかということは、誰もが思う。
公団住宅に残したアルバムなど部屋の中に残した物を、公団職員が一方的に廃棄した件で、裁判所は公団に対し5万円の慰謝料を命じた例がある。
ウ 犬は、猫は?
それでは、犬や猫は、どのように評価されるのか。本来、ペットも人ではないから物(動く物?)のはず。しかし近年、ペットを毀損されたときは、ペットの売値・買値のみならずペットの毀損によって飼主がうけた苦痛に対し慰謝料を認めるようになっている。加害者のO氏が飼主から常軌を逸して執拗に責め付けられた事件で、違和感を感じるが、裁判所は、「生き物なので感情移入があり、生命のない大切な動産と同列に論ずることができない」とした。