2019年11月06日

盲導犬は「物」扱いなのか?

 最近,盲導犬にケガをさせた事件が問題になっていた。その中で,「何で、生きてる盲導犬が物なんですか」「盲導犬にケガをさせたのが器物損壊なのはおかしい」という意見が出ている。
 盲導犬は、法律では「物」としてしか保護されないのか。まず、法律(動物愛護法)で「愛護動物」として保護されている。そして、正当な理由もなく、盲導犬にケガを負わせれば動物愛護法44条1項違反で2年以下の懲役か200万円以下の罰金が課される可能性がある。
動物愛護法
第44条
1 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。
4 前3項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
一 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
では、きちんと動物愛護法があるのに、なぜ器物損壊罪で警察が捜査をしていると報道された。何か不思議ではないか。実は,警察が器物損壊罪で捜査をするのも,あながち間違いではないという現実がある。どういうことなのか器物損壊罪(刑法261条)を読んでみよう。
刑法
(器物損壊等)
第261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
 懲役の期間を比べてみると、器物損壊罪のほうが動物愛護法44条1項違反より1年長いのだ。罰金では、動物愛護法44条1項違反のほうが重いのだが、刑罰については、懲役のほうが罰金より常に重いとされる(刑法9条,10条)ので、器物損壊罪のほうが重いことになる。
 そのため、器物損壊罪で捜査することは、悪質な行為に対して厳しく対応するという意味では間違っていないことになる。
 ちなみに、盲導犬などの動物が器物損壊罪の対象になるのは、器物損壊罪に「傷害した」と動物を前提にした文言があるからなのだ。
posted by IT難民 at 06:15| 東京 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする