2020年05月02日

ペットの殺処分がゼロの国はあるのか? 2

 ペットの先進国とされているドイツでは殺処分がゼロだという報道がなされたことを聞いたことがある。
 『人間に殺されることがない、ペットにとっての理想的な国』
 本当にそんな国があるのか疑問に思い、ドイツでの現状を調べてみた。
 ドイツでは、行政機関がペットを保護するのでなく、民間の動物保護団体がペットを引き取る。「ティアハイム」と呼ばれている動物保護施設。ティアハイムとは、ドイツ語で「動物の家」という意味である。ベルリンやフランクフルトなど多数の都市にティアハイムがあり、古い施設は19世紀の中頃からある。寄付、遺言、補助金、譲渡手数料、会員の会費などを財源として運営している。ここでも飼主が飼えなくなった動物などを引き取り、保護している。動物の引取りを申し込んできた飼主に対しては、引き続き飼育するように、里親を探すようにと説得をする。しかし、仮に引き取らないと飼い主が動物を虐待する、山に捨てる、殺処分することも危惧されるので無理に引取りを拒絶することはしない。
 しかし、引取りをした後は、飼主や里親が見つかるまで保護し続け、原則として殺処分はしない。怪我をしている動物は治療して、里親が見つかるよう活動を継続する。中には、里親を探し続け19年間も保護されている犬もいる。
 規制の厳しいドイツでは犬猫の生態販売、いわゆるペットショップはほとんどない。ペットを飼い始めようと思い立ったときには、まずはティアハイムへ行き、気に入ったペットを探すという慣習がある。仮にペットショップへ買いに行っても、店員からは、「まずはティアハイムで探してみたらいかがですか」と、勧められることもある。ドイツでは、「ペットショップでペットを買う」という発想の前に、「ティアハイムからペットを譲り受ける」という慣行が確立しているといえるだろう。こうすれば、里親が現れる確率が高くなる。こうして里親が見つかるまで保護し続けるシステムが成り立つのだと考えられる。
 ところが、実際には殺処分はゼロではない。殺処分せざるを得ない状況があるのだ。それは、生き続けることが苦痛でしかないと思えるペットの場合である。例えば、末期がんで苦しんでいる、不治の伝染病、高齢のため足腰が立たなくなったペットは殺処分の対象にされる。これらのように苦痛を伴いながら生かし続けることは、動物虐待に当たるという考え方に基づくからだ。
 ドイツでの殺処分の方法は、獣医による安楽死。これは苦痛を与えずに死に至る。例えば、飼主に抱き抱えてもらいながら、注射を打ち最期を看取ることもある。
 殺処分をするための部屋や二酸化炭素を注入する部屋自体、存在しない。したがって、二酸化炭素でペットを殺処分することはゼロと言える。一般的に、ドイツにおいて殺処分がゼロと表現されるのは、こういう考え方からなのだろうか。
 しかし、ペットの先進国であるドイツでも、厳密にはペットの殺処分ゼロという実態には達していないことが伺える。
 日本では、少しでも長く生きさせてあげたいと思う動物愛護家の考え方があるのに対して、ドイツでは苦痛しか味わえないような状況になったら、苦痛から解放するため早めに安楽死させることが動物の福祉に資する、動物のためであるという考え方が一般的で、ペットに対する死生観に大きな違いがある。
 ドイツでは、安楽死を含む殺処分ゼロが理想とは考えていない。動物福祉のためにあえて安楽死させるという現象はなくならないだろう。ドイツにおいて殺処分ゼロが目標とされているとは感じないし、また殺処分ゼロが実現するとも思えない。
posted by IT難民 at 06:37| 東京 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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