2020年05月03日

25万人が「準介助犬」と搭乗?

 アメリカの統計局によると、1970年には全米の夫婦の40%が子供を持っていたのに対し、2012年には、その半分の20%に減少しているという。事実婚のカップルは数字に入れないという事情があるにしても、半分にまで減少したこの現象について、メイン大学のエイミー・ブラックストーン教授は、ペットとの「交流の進化」が1つの原因だと指摘している。
 これは、犬が人間の家族の一員としてのステータスを年々向上させていることに由来する、「犬がいるなら家庭のあり方はこうでいい」という考えへのトレンドシフトと捉えることができるというのだ。
 家族の一員であるからして、当然、旅行に出かけるときでも、できれば犬と一緒にとなる。そこで問題となるのが飛行機だ。
 さまざまな介護犬はもちろんのこと、近年、エモーショナルサポートドッグ(搭乗客の精神疾患や情緒不安定を鎮める役割の、いわば「準介護犬」)と申告すれば、本来徴収するべき動物の搭乗費用(通常はたいてい125ドル)を無料とする航空会社も現れている。
 エモーショナルサポートドッグを機内に持ち込む現象は年々増加しており、その数はデルタ航空1社だけでも25万人にのぼる(2017年)。
 すると、犬にアレルギーを持つ搭乗客と、犬を必要とする乗客のどちらを優先するかという問題が不可避となる。アメリカの航空局は、アレルギー客よりも、介助犬を優先するように行政指導をしてきている。実際、犬アレルギーを訴える客は、離れたセクションへ席の移動をさせられるが、万が一アレルギー反応が収まりそうにない場合には、降機を求められる。
 これは身障者への空路アクセスを国として確保する法律から来ているので、この優先制度は一定の納得を得てきた。ところが、これは本来の介助犬を想定しているもので、エモーショナルサポートドッグを想定していない。2つの大きな違いは、介護としての役割をトレーニングされているかどうかで、前者の場合は、他人に対して吠えることはまれだ。
 エモーショナルサポートドッグの無料搭乗の増加により、犬が搭乗客に噛みついたり、他の犬と喧嘩をしたり、あるいは粗相をするなど、航空会社はたくさんのクレームを受けるようになった。2013年に700件の同様のクレーム数だったものが、2018年には3000件にまで及ぶに至った。
 そもそも、これまでの研究では、エモーショナルサポートドッグが情緒不安定や精神疾患を抱える搭乗客に治療や予防といった効用を与えているかについては、科学的に証明されていない。
 航空会社に対してあまりに犬がらみのクレームが多くなったことを受けて、このほど法律が改正され、機内に持ち込む犬については、例外なくリードをつけられていることが義務付けられた。また単なるエモーショナルサポートドッグというだけでは無料扱いにはせず、トレーニングを受けている証明を事前に航空会社に対して見せることを義務付けるようになる見込みだ。さらに、犬の搭乗が一定数を超えた場合には、搭乗を拒否できるようになる。
 これにより、「準介助犬のなりすまし」を排除することができ、本当に介助犬を必要としている人たちに対してフェアに扱えるということで、航空会社は理解を求める方針だが、「家族の一員」が搭乗拒否をされたときの乗客の逆鱗が今から目に浮かぶようで、現場もおっかなびっくりだ。
posted by IT難民 at 07:19| 東京 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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