例えば、「ペットを亡くして悲しみが癒えないのは、おかしいのではないか」などと、死後十日ほどで自他ともに不安やあせりになってくる人がいるが、ペットロスは、その頃がもっともしんみりとした深い悲しみに襲われて、つらい時期を迎えていることが多いものである。
また、「ペットロスは悲しいだけかと思ったら、怒りの感情が次々にこみあげてくる私はどこかヘンなのでは」と、自らの体験を異常視する悲嘆者もいる。これらはペットロスの正しい知識を持っていないための当事者や周囲の人間の誤解だ。
また一方では、「ペットロスは病気ではない」「ペットロスの悲しみは自然なのでなくせない」とペット専門者などから言われ続けた結果、適正に対処するチャンスを失して危険な状態になる悲嘆者も散見される。また、明らかな病的ペットロスが放置され続けることもある。
ペットロスに関する知識があっても、悲嘆がなくなる訳ではないが、味わう必要のない通常以上の不安や苦しみや混乱は防ぐことができる。したがって、ペットを愛する人もその周囲の人々もペットロスの最低限の知識を得ておくことが大切である。