2020年01月02日

ペットフード安全法の誕生と今後 @

 ペットフード安全法(愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律:農林水産省・環境省共管)が先の国会で成立した。一昔前ならもしかしたら「ペットのエサか…」と一蹴されたかもしれないこの法律が衆議院・参議院とも全会一致で成立するに至った背景には何があるのか。
 ある調査によれば、日本のペット(犬・猫)の総数(推計)は、2500万頭にも達している。ここ5年だけを見てもおよそ1.5倍である。人の子供(15歳未満)の数1700万人より多いだけでなく、つい、未成年者(20歳未満)2400万人という数字も上回ったのである。また、ペットを飼育できるマンションもここ数年で劇的に増加し、今や首都圏の新築マンションの7割以上が飼育可能とされているが、これは近年のペットの需要増に業界が対応した端的な例と言えるのではないだろうか。
 このようにペットの絶対数が増えたことにより、飼養するしないにかかわらずペットへの国民的関心が高まっていることは間違いない。しかし、変化はこれだけではない。
 少子化やライフスタイルの多様化が進む中で、家族の中でのペットの位置付けや果たす役割も変化し、多くの家庭においてペットが家族同様または子供同然に扱われる傾向が高まっているのである、これは、いわゆるペット保険が浸透しつつあることや、ペット周辺用品等に対する支出が増加していることなどからもみてとれる。
 ペットに癒され、元気づけ・勇気づけられることを経験している多くの飼主からすれば、まさに家族同然の効果をもたらしてくれるのであって、ペットを我が子同然にまたはパートナーとして扱い・接し、ペットの健康や安全にも常に気を配ることは、実は至極当然のことなのである。
 そんな中、米国等において、有害物質(メラミン)が混入したペットフードが原因となって、多数の犬および猫が死亡する事故が発生したが、メラミンが混入したペットフードが、日本にも輸入販売されていたことが判明した。
 折しも、人間の食の安全・安心に国民的関心が高まっていた時期でもあり、官邸の仲立ちの下、動物の飼料を所掌する農林水産省(消費・安全局)と,動物の愛護を所掌する環境省(自然環境局)とが,お互いの所掌や立場の壁を乗り越えて、有識者による「ペットフードの安全確保に関する研究会」を共同で設置するに至った。それまでは、同じ動物を扱う立場でありながら必ずしも緊密な関係とは言えなかった両省にとって、極めて画期的な出来事と言えるかもしれない。逆に言えば,この連携がペットフード安全法の誕生を可能にしたのである。
 研究会は、獣医師、弁護士、消費者団体、ペット専門家、行政担当者等の幅広いメンバーで構成され、動物愛護の観点からペットフードの安全確保に緊急に取り組むべきであり,法規制の導入が必要であるとの報告を出した。
 環境省・農水省は、これを受けて、ペットフード安全法案を共同で作成し、衆議院では環境委員会に付託され、本会議において可決された。ただし、衆議院でごく一部に機械的な修正がなされたため、参議院に回付され、参議院本会議で最終的に成立した。
 国会提出から実際の審議まで約2ヵ月かかったのは,いわゆるねじれ国会であることが少なからず影響したもの。しかしながら,国会会期末ギリギリで成立となったのは,与野党を問わず動物愛護の観点からのペットフード安全法の必要性・重要性について一定程度以上の理解が得られたからに違いない。
posted by IT難民 at 08:21| 東京 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: