2020年03月24日

紋切型の「自己責任論」

 格差拡大の事実を認めるか否か。格差拡大を是正すべきと考えるか否か。貧困を自己責任として切り捨てるか否か。これらは、現代日本における階級対立の主要な争点である。
 一方に、格差拡大は事実であり、これは是正される必要があり、貧困は自己責任ではなく社会の問題だと考える立場がある。これは下層階級の、そして下層階級の人々に共感と同情を抱く人々の政治的立場の表明である。
反対に、格差拡大と深刻ではなく、是正の必要はなく、貧困は自己責任だと切り捨てる立場がある。これは特権階級の人々の、そして格差拡大を放置し拡大させてきた政府や企業を擁護する人々の政治的立場の表明にほかならない。
 さらに重要な争点を1つ付け加えよう。それは、現代の日本社会が階級社会であることを認めるか否かである。
2015年に全国の1万6000人、2016年に首都圏に住む6000人を対象に行なった調査の結果にもとづいて、現代日本の危機的な状況について論じた『日本の新・階級社会』(講談社現代新書)に示したように、今日の日本は「格差社会」などという生ぬるい言葉で表現すべき段階にはない。明らかな「階級社会」、しかも900万人にも及ぶ新しい下層階級(アンダークラス)を底辺におき、これに犠牲を強いる、新しい階級社会だと考えるべきである。
 かつてフランスの社会学者ピエール・ブルデューは、「階級が存在するかしないかということは、政治闘争の主要な争点の1つである」と指摘した。現実には格差や貧困があるに「日本には階級がない」と考えるのは、格差と貧困の深刻さから目を背けることであり、人々の間に対立関係はないと言い張ることにほかならない。
 今日の日本社会が、アンダークラスに苛烈な境遇を押しつける階級社会だという現実を認めることこそが、貧困のない、より平等な実現するための一歩になるだろう。
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犬のストレスの原因は?

1.心理的要因
 犬が感じる心理的ストレスの多くは、飼主である家族に関係している。家族が不仲であったり、留守番が多く家族に見捨てられたかのように感じているとき、または犬が嫌がることを繰り返し飼主がし続けるなど。飼主との関係がうまく行かないことほど、犬にとって大きな心理的ストレスはない。
2.身体的要因
 犬は痛みに鈍感だと思われているが、犬も痛みは感じる。しかし動物が生きる自然界には敵がいっぱい、そのため弱みを見せることはすなわち死に繋がる。つまり痛みを見せない習性をもつのだ。人間でも痛みを持ち続けて生きることは相当なストレスになるもの。犬が怪我や病気をしているか、よく見ていればわかるはず。早めに獣医に診察してもらおう。
3.環境的要因
 人間にとっての引越しや家族が増えることなどは嬉しい変化だ。しかし変化の経緯がわからない犬にとっては、いつもと同じはずの日常が、ある日突然変わってしまったように感じる。また家族の日常生活の変化により、犬とのスキンシップや散歩時間が減ったりすることも出てくる。
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2020年03月23日

犬のストレスサイン5つ!

 犬も人間と同じで、さまざまな原因からストレスを感じる。言葉で伝えることができない犬は、飼主にわかってもらえないもどかしさから余計にストレスを溜めてしまうこともある。そのままにしておくと、異常行動を起こしたり病気になってしまうことだってある。よく観察して気づいてあげよう。
1.同じことを繰り返す
 毛づくろいするように自分の体を舐める犬の姿をたまに見かけるが、犬は猫ほど頻繁には舐めない。それが何度も同じところを舐め続けたりするのは、ストレスサイン。「何かイライラするなあ」と感じているのかもしれない。また自分の尻尾を追いかけてクルクル回る行動も、成犬の場合は要注意。これもストレスサインで、留守番などが多く飼主にあまりかまってもらえないときに起こる。ほっておくと自分の尻尾を傷つけてしまうケースもあるので、早めに気づいてあげよう。
2.無駄吠えが増える
 無駄吠えをしたりゴミ箱を漁ってみたりと、普段と違う行動を始めるのも、見逃せないストレスサイン。小さな子供がお母さんにかまって欲しくて、わざと悪戯をするのと似ているかもしれない。「もっとかまって!もっと遊んで!」と言っているのだ。そのまま放っておくと飼主にまで攻撃的になることがある。
3.体を震わせたり縮こまる
 体を縮こませて震えるのは、何かに怯えているときである。病院嫌いの犬が病院の入り口などで、体を縮こませて震えて動かなかったりする場面を見かけることある。一過性のものなら心配ないが、楽しいはずのドッグランなどで、こんな症状が出てしまうときは心配である。そこは犬にとって怖い思いをした場所なのかもしれない。犬が嫌がる場所へは無理に連れて行かないほうが賢明である。
4.尿や便に異常がある
 「ストレスが溜まりすぎて胃が痛い」人間なら良くあること。それと同じで犬もストレスからお腹を壊すことがある。いつも元気な犬だと「道端で変なものを拾い食いしたのかしら」ぐらいに思い、そのままにしてしまうこともあると思うが、数日続くようだと要注意。引越しなどで生活環境が変わり、慣れない場所でのストレスから、便秘や下痢になってしまうことがある。
5.目に見える症状や行動がある
 一番心配なのが脱毛や食欲不振、嘔吐など、目に見える症状が現れたときである。かなり深刻なストレスサインであると考えることができる。もしかしたら、大きな病気を患っている可能性もある。一刻も早く獣医に見せて、原因を調べること。
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2020年03月22日

保健所で終生飼養に反する理由での引き取りができなくなった!

 動物愛護管理法が改正されペットの終生飼養について明示された。終生飼養とは、動物を飼う者は、動物がその命を終えるまで適切に飼養することである。
・ペットが年老いた・病気になった
・ペットに子供が生まれた
・ペットが言うことをきかない・ほえて困る
・ペットに飽きた
・引越しや入院でペットを手放したい
・飼育に関わる金銭的理由  
 これまで、上に記したような理由によって、保健所で引取りの相談を受けてきた。
 今後、上記のような理由では、一切、保健所でペットを引き取らないことになっている。
 この法改正は 「飼主の都合や飼い方に問題で、その動物の生きるべき権利を奪われ、寿命をまっとうできず殺処分される」という現実を是正するためのものである。
 動物は決して、殺されるために生まれてきたわけではない。すべての飼われている動物の命は、飼主に託されている。
 動物を飼う以上は必ず「その動物の命が終える時まで飼うことが可能である」という環境を整えなければならない。
 ※なお、ペットを捨てたら、100万円以下の罰金。殺害をした場合、200万円以下の罰金もしくは2年以下の懲役になる。
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2020年03月21日

マンションにおけるペット飼育問題への対処法

 ペットの飼育に関しては、管理規約でペット飼育の禁止規定(以下「禁止規定」という)がある場合やその禁止内容などにより困難な問題がある。
 小鳥やラットのように外出させず、鳴き声も騒音といえないペットを飼育する場合と、犬のように散歩させたり、鳴き声や足音が聞こえるペットを飼育する場合とでは、形式的にはすべて規約違反といえるが、小鳥を飼育している場合にまで規約違反として飼育禁止の裁判に訴えて、勝訴できるかは疑問。
 すなわち、形式的に規約違反があるというだけではなく、さらに、その飼育が区分所有法第六条一項に規定する「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当するような場合には、飼育を禁止する裁判を訴えることが可能であり、飼育をしないように判決を得ることがある。
 判例も飼育を禁止する判決を言い渡し、損害賠償を認めた事例もある。
 ところで、ペットの飼育を全面的に禁止するのではなく、小型犬の飼育は認められるが、大型犬の飼育は禁止する規約になっているので、少し複雑。
 なぜなら、50p以下の犬は飼育できるが、60pの犬は飼育できないという場合では、なぜに60pの犬はいけないのか、合理的な理由が定かではないからである。
 ことに子犬のときから飼育していて、成長して60pの犬になったら駄目だというと、子犬のときから育てた居住者はなかなか飼育をやめることは困難であって、紛争が絶えなくなる。
 このような規約の趣旨は、おそらく子犬はよいというのではなく、成長しても50p以上にならない小型犬の飼育はよいということだと考えられる。
 そうであれば、管理組合にペット委員会のような組織を作り、ペットを飼育する場合には委員会の許可を要するようにし、許可を得ないで飼育してはならないという規約を設けている事例もある。
 そしてこのような規約の下では、許可を得ずに大型犬を飼育した場合には、管理組合が大型犬の飼育を禁止するように居住者に求めたり、これに従わない場合には、規約違反となるだけでなく、「共同の利益に反する」行為として裁判に訴えて解決を図ることも可能だといえる。
 しかし、犬の大きさを決めて、50p以下の犬に限って飼育できる規定のある場合に、100pの大型犬を飼育したことが規約違反に該当すると訴えた裁判例は、見当たらない。
 規約にある動物の種類や数などの規定に反して違う種類の動物を飼育する場合にも、同種の問題といえる。この点、裁判例としては、小鳥および魚類以外の動物の禁止規定に反する犬を飼育した事例と、禁止する管理規約がなくてビーグル犬を飼育していたところ、全面飼育禁止の管理規約が制定された事例では、いずれも飼育を禁止する判決などがある。その意味で、これまでの裁判例は、集合住宅における管理規約を尊重する立場にあると解されるので、100pの大型犬を飼育するに至った特別な事情がある場合や、飼育の禁止を求めることが権利の濫用に当たる場合でなければ、飼育を禁止する判決が言い渡されると思える。
 なお、障害者が盲導犬を飼育している場合や、許可された種類の犬の飼育である場合には、特別な事情に該当すると考えられる。
 また、動物飼育規定があり、その規定の動物の大きさに違反があるが、飼主の守るべき事項(鳴き声などのしつけなど)の遵守規定などにはまったく違反がなく、一方で、この規定に違反する者がほかにもいる場合には、大型犬の飼主にだけ、その飼育の禁止を求めることは、権利の濫用となる場合がある。
 いずれにしても、昨今のペットブームの状況を踏まえれば、居住者が平穏・安全に生活し、ペットの飼育に関する紛争を未然に防止するために、公表されている動物飼育モデル規定などを参考にして、管理組合の指導の下に、飼主の会などを設置し、飼育のための許可手続、飼育できるペットの種類や、大きさ、動物の数、飼主の遵守すべき事項、飼主への指導や禁止行為などのきめ細かで明確な規定を定めておくのがいいのではないか。
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2020年03月20日

かけがえのない命を大切に!

 ペットは飼主にとって、かけがえのない存在だ。命を大切にする責任を改めて確認したい。
 犬や猫などの遺棄や虐待を防ぐことを目的とした改正動物愛護法が、昨年の国会で成立した。
 ペットを殺傷した場合の懲役刑が「2年以下」から「5年以下」に厳罰化される。遺棄や虐待は、従来の100万円以下の罰金だけでなく、1年以下の懲役も科せられることになる。
 近年、動物虐待の検挙件数が増えている。ネット上では、虐待の様子を映した動画の投稿が相次ぐ。繁殖業者が犬を劣悪な環境で飼育したり、大量に遺棄したりといった問題も起きている。
 厳罰化で虐待に歯止めを掛けようという方向性は理解できる。
 改正法は、犬や猫へのマイクロチップ装着を義務化した。
 繁殖業者などは識別番号を記した長さ1センチ程度の電子器具を犬や猫の皮下に埋め込む。飼主は氏名を所定の機関に登録する。動物の識別番号から飼主を特定できる仕組みである。
 はぐれた犬や猫を探し出すことに役立つほか、飼主が無責任にペットを捨てるのを防止する効果も期待される。
 ペットショップが子犬や子猫を販売できる時期は、生後49日超から56日超に変更される。幼いほど衝動買いを誘い、結果的に飼主の飼育放棄につながるという指摘を受けた改正である。
 犬や猫をともに生きるパートナーとして、家族同然に考える人は多い。ペットと一緒に過ごせるカフェなどの施設も増えている。
 一方で、飼育放棄などによって自治体に引き取られ、殺処分される犬や猫がいる。その数は2017年度で4万匹余りだ。
 殺処分数は減少傾向にあり、過去10年間で約7分の1になった。自治体や愛護団体が、引き取った犬や猫を新しい飼主に譲渡する取り組みが実を結んだと言える。こうした努力を重ねたい。
 ペットの長寿化に伴い、老いた犬や猫を手厚く世話する必要性も高まっている。ペットを飼う際には、最期まで責任を持って面倒を見る覚悟が求められよう。
 現在は飼主の高齢化も進む。飼い続けたいと希望しても、自身の病気などが原因でペットを手放さざるを得ない人は少なくない。親の死亡後、そのペットを子が飼い続けられないケースもある。
 譲渡のネットワークや、ペットの飼育を引き継ぐ施設の拡充を進めることが有効ではないか。
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2020年03月19日

ペットの生体販売では 契約書が重要

 生き物という商品の特性(個体差がある、幼齢 個体は健康上の問題が生じやすいなど)を考え ると、契約書を作り、トラブル時の対応について合意しておくことが大切である。
 ただし、合意内容が消費者の利益を一方的に害する不合理な内容(売主の責任をすべて免除、故意または重過失があっても免除など)は無効(消費者契約法8条1項、同10条)。
なお、購入後2週間以内に発病した場合の治 療費負担、および購入後3ヵ月以内(または生後5ヵ月以内)に判明した先天的欠陥の場合の代犬提供義務のほかは売主は責任を負わないという契約の合理性が争われた事例で、裁判所は、一定の要件の下で責任を負担するものでその内容が目的物の性質に照らし合理的と判断し、売主の責任を否定している(東京地裁平成16年7月8日判決)。
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2020年03月18日

ペットの売買契約の基礎知識

 ペットの生体販売は動産の売買契約(民法 555条以下)となる。売買契約は商品と代金が対価性を持つ有償双務契約である。
 ショップ (売主)は買主に商品(ペット)を引き渡す義務があり、買主は売主に代金を支払う義務がある。売主または買主がこれらの義務に違反すると、債務不履行責任が生じる。また売主には、 販売時に商品に隠れた(したがって買主が知っていた場合は発生しない)瑕疵(欠陥、きず)があった場合、無過失で負う瑕疵担保責任がある(民法566条、570条*1)。 この瑕疵のために契約目的を達成できない場合、買主は契約の解除ができます。
 例えば、販売 時にペットが外観上分からない病気に罹患しており販売直後にこの病気が原因で死んだ場合、飼育という契約目的を達成できないのでこれに当たる。重い遺伝性疾患等で生涯高額な医療費が発生する場合なども当たると考えられる。
 契約が解除されると、売主には返金義務が、買主には商品返還義務が生じる(原状回復義務。なお死体は返しても仕方がないので返還しない)。
 一方、契約目的を達成できないほどではない瑕疵の場合、解除はできず、買主は損害賠償の 請求のみできる。ここでいう損害賠償範囲は値引き程度の金額と考えられる。
 しかし、獣医療費の高額化や返品を望まない買主の増加等 から、代金額を上回るような賠償が可能かが問 題となり、契約書がないケースでは一義的な解 決は困難である。 売主に故意または過失があった場合は、通常 の債務不履行責任(民法415条)や不法行為責 任(民法709条)が発生することもある。
 重要事項について虚偽を告げたり、不利益事実を故意に告げないなどの事情があれば、契約を取り消すこともできる(消費者契約法4条1項 1号)。ここでいう重要事項は、商品の質、用途、対価等(消費者契約法4条4項1号、2号)である。
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2020年03月17日

ペットに関する法令について

 「民法」や「消費者契約法」等の一般的な法律の ほか「動物の愛護及び管理に関する法律(」動物 愛護管理法)「狂犬病予防法」「愛がん動物用飼料 の安全性の確保に関する法律」(いわゆるペット フード法)等ペット固有の法律があります。政 省令では、動物愛護管理法施行令(施行令)、同 施行規則(施行規則)、「家庭動物等の飼養及び 保管に関する基準」、展示動物(ショップや猫カ フェ、動物園等の動物)についての「展示動物の 飼養及び保管に関する基準」「第一種動物取扱業 者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目」「第 二種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方 法等の細目」等がある。
また、は虫類などエキゾチックペットの飼育 では「特定外来生物による生態系等に係る被害 の防止に関する法律」が、野生動物では「鳥獣の 保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法 律」が、畜産動物(ミニブタなど)では「家畜伝染 病予防法」等が関係します。 近年、飼育禁止規約のあるマンションでの飼 育や、騒音・悪臭問題が増加傾向にある。
 ふん尿やペットの死体をみだりに廃棄した場合 は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で処罰 されることもある。また、自治体のペット条例(「東京都動物の愛 護及び管理に関する条例」等)や、ふん害防止条 例(「舟形町環境美化推進条例」(山形県)等)での 規制強化の傾向もある。
 例えば、一定数以上の犬猫の飼育を届出制としている自治体(長野県、山梨県は10頭以上。佐賀県は6頭以上。 いずれも生後91日未満のものを除く)や、移動 販売での輸送先でも2日間以上の目視(施行規 則8条3号)を要することを明確化している自治体(新潟県)もある。
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2020年03月16日

ペット公害について A

●民法に基づく対応
 ・飼い主に対する損害賠償請求
 上述の対応では改善が見られない場合、飼い主に対して、民法上の不法行為(民法709条・718条)を根拠に、損害賠償を請求するという方法も考えられる。
 ・過去の裁判例
 過去の裁判例においても、以下の通り、飼主について、飼犬の鳴き声や糞尿の放置などが、社会生活上、近隣住民の受忍すべき限度を超えているといえる場合には、10万円〜30万円程度の慰謝料の賠償責任が認められている。
 そして、以下の裁判例からすれば、飼犬の鳴き声の大きさや時間帯、鳴き声や糞尿の放置がなされる頻度、近隣住民からの苦情申し出の有無、近隣住民からの苦情に対する対応の有無その他諸般の事情を考慮して、社会生活上、受忍すべき限度を超えているか否かが判断されることになると考えられる。
■横浜地判昭和61年2月18日判タ585号93頁
近所の飼犬(マルチーズやシェパードなど)の鳴声が、長時間にわたり、連日のごとく深夜・早朝に及ぶなど極めて異常なものであったため、神経衰弱状態に陥ったX1・X2夫妻(近隣住民)が、飼い主Yに対して、民法718条に基づいて慰謝料を請求した事案について、
・「犬(コンゴ・テリアのごとく殆んど声が出ないものを除く。)は、本来、吠える動物であるが、無駄吠えを抑止するためには、飼主が愛情をもつて、できる限り犬と接する時間をもち、決つた時間に食事を与え、定刻に運動をする習慣をつけるなど規則正しい生活の中でしつけをし、場合によつては、専門家に訓練を依頼するなどの飼育が肝要である」ところ、Yには、「その飼犬に対し、飼育上の配慮をすべき注意義務(保管義務)があり、その義務を尽していたならば、先に説示のごとき異常な鳴声を防止できた筈というべきである」が、Yは、昼間殆んどが不在がちであり、飼い犬が家人と一緒に運動させられることは殆んどないことなどから、上記保管義務を尽したものとはいえない、
・Yは、シェパード及びマルチーズをそれぞれ1ないし2匹飼つていたところ、ジョニーと呼ばれたシェパードは、特によく鳴く犬で、Y方が留守の時には一晩中でも吠え続けてXらを悩まし、マルチーズもまた、甲高い声で鳴き続け、その程度は、前叙のとおり極めて異常といわざるをえないものであり、そのために、Xらは、神経衰弱状態となり、X2が失神することもあつたほどなのであるから、Xらが肩書住所に入居した際その存在を認識した鳴声から推測される被害の程度を大きく超えるものであつたなどと判示して、1人につき30万円の慰謝料を認容した原判決を支持した。
■京都地判平成3年1月24日判タ769号197頁
X1〜X3は、Yから2階建て建物の一部を借りて、Y一家と同じ建物に居住していたところ、Yが飼育し始めたシェパードの雑種の子犬の吠え声が大きく、また、中庭で排泄された子犬の糞が直ちに除去されずに、堆積して悪臭を放つこともしばしばであったが、Xが度々苦情を申し入れても改善されなかったことから、Yに対して、慰謝料を請求したという事案について、
・「一般家庭における飼犬の騒音(鳴き声)又は悪臭による近隣者に対する生活利益の侵害については、健全な社会通念に照らし、侵害の程度が一般人の社会生活上の受忍限度を超える場合に違法となるものと解すべきところ、通常家庭犬の飼育は、防犯目的の必要性の顕著な特段の場合を除き、副次的に防犯目的がある場合を含め、生活必需性が希薄である場合が多いから、受忍限度を狭く解すべき要因を含む反面、近隣住民間の立場、態様の相互性、互換性から、寛容・円満な人間関係の形成が要求される点において、受忍限度を広く解すべき要因の存在も否定できない。」
・「本件シエパード犬はYにとって愛玩用に類する飼犬と認められ、その点で生活必需性は希薄であるから受忍限度は狭く解すべきであり、一方で、当事者間は賃貸人・賃借人の関係で、しかも戦前からの付合い関係にあり、かつ、同一建物内で密着して生活し合い、共同使用中の中庭における出来事を中心とすることを考えると、受忍限度は広く解すべきこととなるけれども、さきに認定した加害行為の態様からすれば、本件の場合、右後者の事情を考慮に入れても、Yの行為は、その結果から見て、社会生活上の受忍限度を超えるもので、違法となるものというべきである。」
・「Yは、本件犬の鳴き声による騒音、糞の放置による悪臭・蝿の発生の解消に真撃に努力しなかった飼犬飼育上の違法行為により、本件賃借部分に居住するXらが受けた肉体的・精神的損害を賠償する義務がある。」
・慰謝料の金額について、「Yが本件加害行為の改善に消極的であった背景には、X1に対する本件賃借部分の明渡し要求又は賃料増額要求が実現しないことによる顕在的又は潜在的な加害意欲が認められること、反面、以前の飼犬の場合には相互に円満に推移した事情、犬に関する口論にはX1に挑発的な言辞が見られること、X1はYに対して報復的な行為に出ていること、Yはすでに本件犬を他に譲り渡し、今後中庭で犬を飼育しないことを誓約していること、その他諸般の事情」から、YがX1X2に支払うべき慰謝料額は、各金10万円とするのが相当である。 
 と判示し、X1・X2について、各10万円の損害賠償請求を認容した(X3については、X1X2の子であるという以外に主張立証がなく、中庭に面しない部屋で寝起きしていることから、請求を棄却した。)。
■東京地判平成7年2月1日判時1536・66
 X1は、閑静な住宅地に所在する共同住宅を所有し、その一室でX2と居住していたところ、同建物と道路を挟んで向かいにある住宅に居住するY1〜Y3の飼育する飼犬(Y1が柴犬1匹、Y2がピレニアン・マウンテンドッグ1匹と紀州犬1匹、Y3がピレニアン・マウンテンドッグ1匹を飼育)の鳴声による慰謝料を請求した事案について、
・「Yらの4匹の飼犬は、遅くとも平成3年1月から(Y3の飼犬については平成4年2月から)本件訴えを提起するに至るまで、連日、一定時間断続的に鳴き続け、その時間が夜間又は朝方にかかることか多かったことか認められ」るところ、Yらの飼犬の鳴き声は、「近隣の者にとって受忍限度を超えたものであると認めることかできる」。
・「住宅地において犬を飼育する以上、その飼主としては、犬の鳴き方が異常なものとなって近隣の者に迷惑を及ぼさないよう常に飼犬愛情を持って接し、規則正しく食事を与え、散歩に連れ出し運動不足にしない、日常生活におけるしつけをし、場合によっては訓練士をつける等の飼育上の注意義務を負うというべきであるところ、Yらの飼犬が一項で認定したような異常な鳴き方をしている事実からすると、Yらは、右の注意義務を怠ったものといわざるをえない」から、「Yらは、犬飼育上の注意義務に違反したものとして、Xらの被った損害を賠償すべきこととなる」
・X1X2がYらの飼犬の鳴き声によって精神的苦痛を被ったことが認められるが、その慰謝料額は、本件に現れた全事情、とりわけ、飼犬の鳴いている時間帯及び長さ、Yらが現在は犬小屋に防音設備を施したこと、犬の鳴き声というより近所づきあいのなさという人間対人間の問題が根本にあると考えられること等を考慮すると、各30万円とするのが相当である。
 と判示し、X1X2について、各30万円の慰謝料を肯定した(なお、本判決は、X1の息子X3が、上記共同住宅の一室を賃貸に出していたところ、賃借人が、Yらの飼犬の鳴き声が原因で契約期間満了前に退去したことに関して、X3が実際に被った賃料差額についても、賠償を命じている)。
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